怪物と戦う。あるいは深淵

2010/04/06

There ain't no such thing as a free lunch.

無料の昼食なんて無い。人生のごく早いころから、こんな言葉を脳に刷り込んでいるせいだろうか、申し訳ないがボランティアというものに対しては“胡散臭い”、もしくは“きな臭い”ものだという色眼鏡を外せず現在にいたっている。
また、The road to hell is paved with good intentions.(地獄への道は善意で舗装されている)、という台詞も好んで使っており、ある種の人々からは救いようが無いと思われているが、これまたお互いさまなのであえて反論する気も起きない。

商売と道徳の衝突という記事を書いたときに、内容が混乱することを避けるために、あえて書かなかったことがある。それは、21世紀では道徳も商売になっており、道徳で飯を喰っている人間こそが最も手強い敵だということだ。
相手がNPO・NGOなどと名乗っているからといって、ボランティアでやっている素人と考えるのは全くの見当違いであるし、彼らを定義する言葉の中には“無料の職員”などという都合の良いものは何一つ含まれてはいない。

クジラ・タバコ・ライフル・難民、そして児童ポルノはそれに関わる組織にとっては利益の源であり、もっと俗な言い方をすれば飯の種だ。それらが作られたのは、多分に善意であることは否定しないが、寄付金・補助金など扱う金額がある一定の量を超えた瞬間に、組織の第一目的は自己の存続へと変質する。自己保存と拡張。そんなものに対して、己の存在を危うくさせるような理屈を、納得させることは不可能だ。

ゆえに、児童ポルノ規制を飯の種にしている日本ユニセフ協会や日本ECPATは、その内在する衝動に従ってマンガ規制を進めていくだろうし、それが達成するようならば新たな目標を作りだして活動を続けるだろう。
怪物と戦うためには、自らもまた怪物にならねばならないのか? 私個人は、たぶんそうならねばならないと考えている。

ではどんな怪物ならば、児童ポルノ規制からマンガを守っていけるのだろうか? その答えを全米ライフル協会の事例から探ってゆきたいと思う。

備考

NGO(Non-Governmental Organizations の略)非政府組織

民間人や民間団体のつくる機構・組織であり、国内・国際の両方がある。
日本では、NGOという言葉が、国際的なものとして使われており、「国際協力に携わる組織」や「政府を補完する側面」というような場合に使用される。

ex.赤十字国際委員会(ICRC).国際標準化機構(ISO).国際オリンピック委員会(IOC)

NPO(Not-for-Profit Organization の略)非営利団体

非営利での社会貢献活動や慈善活動を行う市民団体のこと。株式会社などが株主に対して収益を配分するのに対し、NPOは出資者に収益を分配せず、新たな事業活動や非収益事業に充てる。
活動に必要な職員の給料などについては「定款」に記載されている。

ex.日本NPOセンター.コンピュータエンターテインメントレーティング機構

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