エロマンガのルールづくり

2007/08/26

客というのは無責任なもので、ヤンヤヤンヤと散々に煽っておきながら、「全員そのままぁ!」というガサ入れの声を号砲に、ワッと蜘蛛の子を散らすがごとく逃げ出すものだ。その場に残って己が身を犠牲にするような奴は、阿呆かよっぽどの物好きだろう。
それに、官憲相手に大立ち回りをやったところで、誰か得するのがいるかといえばそんなのはいるはずもなく、かえって双方から余計な面倒が増えたと鼻つまみにあうだけだったりする。残念ながらこの平成の世において、長谷川伸の芝居じみたことは流行らないようだ。
しかしながら未婚にして無職のエロマンガ読みという、ある意味この日本社会にあってもっとも無用な人間はこの騒動に対して、なにかひと肌脱げないかと無駄なことを考えるのであった。メタボリックな中年オヤジが脱いだって気色悪いだけだという陰口はあえて無視しながら。

皮肉な話だが私はわいせつな漫画を描くことで捕まることが非常に困難、いや不可能といいきっていいだろう。よくわいせつな絵を指して、便所の落書きうんぬんということを言われるが、過去にJRの便所で実に巧みなものを見て感心したことがある。同時に自分の絵心が便所の落書き以下であることを朝っぱらから思い知らされ憮然となったものだ。
今回逮捕された個人的に極めて気の毒な方は元エロゲンガーだったというが、なるほどそれくらいの腕があれば捕まるはずだ。逮捕されるというのは警察から絵の腕前を保証されたようなものだが、それと引き替えにテレビカメラの前で手錠・腰縄の猿まわしとはあまりに割があわな過ぎる。
このような感想を持った人はネットを見る限りかなり多く、警察に対して行き過ぎという声も聞く。私としては裁判所への減刑嘆願書のテンプレートを作って公開したいのだが、司法手続きに暗いため公判で採用される様なものを作れるかどうかはなはだ心もとない。情けないことだが、どなたか御奇特な方が現れるのを待っているところだ。

「わいせつな漫画を売ることを生業としているのだが、捕まると色々なひとに迷惑をかけるので、どのようなものだと捕まるのか教えて欲しい」というように岡山県警(いや愛媛県警か?)へ相談にいってみるのは、冗談ではなく問題解決の正攻法だと思う。
警察だって「意図的に基準を曖昧にしていつでも恣意的な逮捕ができるようにしている」という批判は聞きたくないだろう。ましてやこれで評判が落ちて他の捜査にも支障をきたすということは、ただでさえ多数の案件を抱えている中であまり愉快な状況では無いはずだ。
自分の手の内をさらすようなことを警察がやるはずがない、というのは裁判制度をよく知らない人がいうことであって公判が始まれば、ここがこういうように違法と判断したので逮捕したと説明しなければならない。というかこれができなければそもそも裁判が持たず弁護側はおろか、検察側からも厳しい追及を受けるのは必至だ。
想像するに今回の逮捕は松文館を巡る裁判で出された判例を基準におこなわれたと考えられるが、原因となった同人誌を見ていないので即断はできない。それに営利を目的とした企業と個人とでは、判断基準が異なっていることは高い確率で推測される。
少々論旨がずれたが、犯罪を取り締まること以上に、未然に防止することこそが警察に科せられた使命だと私は信じている。ゆえにわいせつ図画頒布という犯罪をこれ以上出さないためにも、警察は明確な取り締まり基準を出さなければならない。そしてその基準について様々な意見がでるだろうし、きっとそれぞれの立場から批判を受けることになる。割に合わないことだが、それが民主主義というものであり、議論の中で出された修正案・妥協案こそが正義というものだ。
日本の正義のよりどころである警察には、この割に合わない役割を担う義侠心を発揮して欲しいと切に願っている。

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